あの頃は、ネット販売といっても、今とはまるで空気が違っていました。
「インターネットで洋服なんか売れるか!」
そんな言葉が本気で飛び交っていた時代。これは、あるデパートの社長の言葉だと聞きました。まだ“ネットで服をや食料品を買う”ということ自体が、どこか怪しく、信用ならないもののように思われていた頃です
それでも、様々な商品をネット販売を始めていく店がどんどん増えていきました。
方言との格闘の日々
ネット販売が「全国区」なのだと実感したのは、地方のお客様からお電話をいただいた時でした。ネットの注文に躊躇いがあって、直接確認したいという気持ちの表れだったのかもしれません。
でも困るのが耳慣れない方言でのお問い合わせ。
本当に申し訳ないのですが、
「えっ? もう一度お願いできますか?」
と何度も聞き返してしまうことがありました。
毎年、沖縄からお電話をくださるお客様がいらっしゃいました。
私はこれまでに5回ほど沖縄旅行をしていて、なんだか懐かしい気持ちになりながら丁寧に対応していました。とはいえ、20代の頃の話。覚えていたはずの沖縄の言葉も、すっかり抜け落ちていましたね。それでもそのお客様のご注文は無事にお届けできて、本当に嬉しかったです。
一方で、北陸地方の方言はまったく聞き取れず、
何度も聞き直してしまい、今思い出しても冷や汗が出ます。
「同じ日本語なのに、こんなにわからない言葉があるのか」
と本気で思いました。
最大の難関は「住所確認」
一番困ったのが、住所の聞き取りです。 名前は何とかなっても、地理感覚のない土地の住所は、わかったふりすらできません。
お客様が郵便番号をご存知ないとなると、もうお手上げ。
受話器を置いたあと、地図や名簿をひっくり返して調べ、発送してからも「無事に届くだろうか……」とヒヤヒヤしたものです。
某テレビ局の電話窓口にいた友人と、「英語がわからないならともかく、日本語でこんなに苦労するなんてね」と笑い合ったのも、今では良い思い出です。
PCからスマホへ、そして激化する競争
時代は変わりました。
PC注文から携帯注文へ、そして今はスマホ注文が当たり前。
画像は鮮明に表示され、文字を読み上げてくれる機能まで備わっています。
便利になった分、競争は激しくなりました。
価格も品揃えも、大企業には到底かないません。
店舗で商品説明を聞きサイズや素材を確認して商品を撮影、検討すると言いつつ
自宅に帰ったらポイント狙いで大手企業から購入する、ショールーミング。
そんな流れが、すっかり一般化しました。
さらに、店内で写真を撮りまくり、
まるで自分が購入したかのようにSNSへ投稿するインフルエンサー。
これも時代の流れなのでしょうか。
どこで買っても経済が回るのなら、まだいいのです。
でも、目の前でその光景を見ると、やはりため息が出てしまいます。
電話越しに方言と格闘しながら、
ヒヤヒヤしながら住所を確認し、
無事に届いたと胸をなでおろしたあの頃。
時代は変わっても、画面の向こうには、ちゃんと“人”がいる。
そのことだけは、忘れずにいたいですね。

コメント