開業した頃の話 〜羨ましいの裏側〜
私が自分の店を出したばかりの頃、周りからはよく
「いいわね〜」「羨ましいわ〜」と言われていました。
小さな店でしたが、「いつか自分も店を持ちたい」と強く願っている女性が、わざわざお店を訪ねてきてくれることもありました。
私はそのたびに、開業までの話をしました。
みなさん、自分のセンスに自信があって、「私は絶対成功する」と目がキラキラしていました。
その気持ちは本当に素晴らしい。夢を持つことは大事です。
でも——
お金に対する考え方が、会社員時代のままの人多かったんです。
中には借金をしてまで店を出すと言う人もいました。
まだ開業したばかりの私に、偉そうな助言なんてできません。
けれど心の中では、正直こう思っていました。
「この人たち、3年持つかな??」
お店は“夢”より“資金繰り”
保証金、家賃、仕入れ、光熱費、人件費
店を回すには、とにかくお金がかかります。
資金が少なければどうなるか。。
- 商品が大量に売れたら → 仕入れの支払いが追いつかず黒字倒産の危機
- 商品が売れなければ → 在庫過多で収入無し赤字倒産の危機
どちらに転んでも危うい。
だから私は決めていました。
「借金をしなければ続けられないなら、その時は店をやめよう」と。
手持ちの資金をどう回すか。
これが一番大事で、そして一番大変なんです。
でも、開業に夢中な人にお金の話をしても、あまりピンとこない様子でした。
開店の挨拶も無し、そして知らない間にその店は消えていました。
やはり3年後に。
生き残ったのは私の店だけ
アルバイトをしながら店を続けた人。
公務員の退職金をつぎ込んだ人。
アパレルから仲間と独立した人。
いろんなスタイルがありました。
でも、最後まで残っていたのは私の店だけでした。
売上が大きく伸びた年もありました。
震災の影響で大きく落ち込んだ年もありました。
本当に、店を継続させるのは大変でした。
でも
借金なしで終えることができました。
ちょっと自慢かな〜
驚くことばかりの世界
開業して知ったのは、商売の世界の「へぇ〜」案件の多さ。
パトロン付きで店を出していた友人。
(あとから噂を聞いてびっくり)
近所の古着屋のオーナーは渋いロマンスグレー
複数店舗を持ち、店長は「2号、3号、4号…」なんて世界。危機管理バッチリですわ。
知らなくてもいいけど、知ると妙に面白い話ばかりです。
そしてお客様も個性的でした。
暗くなると来店するピンクのヒラヒラドレスを着た筋骨隆々の男性。
トレンチコートにスカート姿でキューピー人形を赤ちゃんのように抱えたご高齢の男性。
心臓バクバク。
さらに、外国車(プジョー)に乗った外国人男性に英語で話しかけられ、
隣の店の方に通訳をお願いしたら——
なんと「ハイヒールで踏んでくれって言ってるよ」
……え?
私はいつも、ハイヒールを履いてません。もちろん丁重にお断りしました。
今みたいにSNSもない時代。
濃い出来事は、全部リアル。
振り返ると、珍しくて忘れられない思い出ばかりです。
開業って、キラキラして見えるけれど、実際は地味で、孤独で、在庫との戦いです。
でもだからこそ、生き残れたことは誇りです。
あの頃の自分、よく頑張ったなと思います。

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